【5冊目】UPSTARTS
ユニコーン企業の代表格、UBERとAirbnbの立ち上げから、現在に到るまでの軌跡。
UPSTART(アップスタート)とは、成功を収めた人物で、経験豊富な年長者や確立された手法をあまり尊重しない者のこと。
すごいスタートアップの始まりは、必ず、片手間のサイドプロジェクトだ。エアベッド&ブレックファストも、部屋代を払うために立ち上げたものだ。部屋代を稼ぐこと、すごいなにかを思いつくまでの時間を稼ぐことが目的だったんだ。 ──ブライアン・チェスキー(エアビーアンドビーCEO兼共同創業者
エアビーはサイドプロジェクトとして始まった。最初から現在のような壮大なストーリーを描いていたわけではなく、あくまで小さな動機からのスタートだった。
偉大な企業をつくりたければ、とても大きな波に乗る必要があります。しかも、市場や技術の波を他人と異なる目で見て、他人より早く気づけなければなりません。そして、自分をいい位置に置き、準備を整え、適したサーフボードを選べなければなりません。つまり、適切な経営陣を用意し、適切なプラットフォームを構築できなければなりません。そうしなければ、大きな波に乗れません。いかに優れたアントレプレナーであっても、大きな波をつかまえられなければ、最終的に、偉大な事業を構築することはできないのです
大き波に乗らなければいけない。これは以前ICCの何かのセッションでも聞いたことがあった。大きな波には人よりも早く気がつかなければいけない。しかし、それは早すぎてもいけない。企業名は忘れたけど、10年早すぎてダメだったプロダクトがあった。今のタイミングでなら成功していたけど、10年前ではダメだった。同じコンセプトでも時代によって受け入れられるかどうかは変わる。
グレアムがいる。話している相手はセコイアキャピタルの投資家、グレッグ・マクドーだ。例の感銘を受けた講演で大きな波について語った人物である。 ふたりは、偉大なアントレプレナーに一番必要な資質について語りあっていた。すなわち、精神力──新しいことに付きものの障害や問題を乗り越える力である。マクドーらセコイアキャピタルの人々は、グーグルやペイパルなど、自分たちが投資し、成功した企業の創業者に共通する特質はこのような気概だと考えていた
もっとも必要な資質は精神力。最初からうまく行ったスタートアップというのは殆どなくて、結局は諦めずに最後まで試行錯誤を繰り返したかどうか。1勝99負でも最後に1勝できれば成功になる。
最近だとクラシルを運営するdelyも最初は配達をやっていて、失敗。マグロの解体ショーなど様々なことに手を出して今の料理アプリにたどり着いた。
カラニックは戦いを選ぶ。チェの提案を受け入れていたロビイストは、みな、肝をつぶしただろう。 まずは口撃だ。ツイッターで、チェの提案は「価格操作」である、チェは「なにがなんでもタクシー業界を守ろうとしている」のだと書く[15]。 もちろん、このくらいでDC市議会は動かせない。だから、カラニックは、まず、DCのテクノロジー系コミュニティの支援を取りつけようと、共同購入クーポンサイトを運営するリビングソーシャル社(本社バージニア州)に声をかけた。だが、反応がない。それなら顧客に訴えるしかないと、カラニックは、DCのウーバー利用者数千人に熱いレターを出すことにした。市議会のせいで、料金を引き下げ、安定したサービスを提供することができなくなると訴えるわけだ。
創業者であり、現在はその座を追われたカラニックの強烈なキャラクターが随所に垣間見える。
この2社のスタートアップは法律さえも変えていく力を持ったスタートアップで、大きな力を持っている。それだけに、政府や規制との戦いも多く、壮絶な成長ストーリーは映画のようで物語としても面白かった。